研究概要 |
新規サイトカインIL-27はそのTh1誘導作用に加えて,過剰免疫応答制御作用を有することが明らかになり、その分子機構の理解に進展があった. 同じIL-12サイトカインファミリーメンバーであるIL-23は,その過剰発現により,感染後のWSX-1欠損マウスに類似した,全身性の炎症を引き起こすことが報告されている。IL-27はTh1反応の誘導・維持のみならず,細胞の活性化や広範なサイトカイン産生の制御を通じて,免疫反応の開始から終息までをコントロールしている可能性を示しており興味深い.特に我々が見いだしたIL-27によるIL-23依存性IL-17産生の制御は感染時の病原体に対する適応免疫と過剰な炎症の抑制を理解する上での重要な糸口になると考えられる。 IL-12サイトカインファミリーメンバー,特に新規サイトカインとその受容体のシグナル伝達経路には不明な点も数多く残されており,また,リガンド,および受容体のサブユニットに関して図1に示したもの以外の組み合わせが存在する可能性が示唆されている.今後それぞれの分子の役割の解明を通して,感染や自己免疫疾患,あるいは腫瘍や臓器移植などにおいて,病態に応じた免疫反応誘導・制御法が得られることが期待される.
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