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2006 年度 実績報告書

リステリア特異的防御免疫の誘導における細胞内・外パターン認識機構の関与

研究課題

研究課題/領域番号 18790306
研究機関京都大学

研究代表者

野村 卓正  京都大学, 医学研究科, 助手 (40362529)

キーワードリステリア / サイトカイン / 異物認識
研究概要

(1)グラム陽性菌に対する細胞外認識機構による獲得免疫誘導への影響
野生型マウスあるいはTLR2欠損マウスをリステリア菌で免疫し28日後に再感染させたところ、TLR2欠損マウスでは野生型マウスより強い防御免疫が成立していることが明らかになった。この結果は、TLR2を介するシグナルが特異的防御免疫の成立を抑制していることを示唆している。そこで、腹腔滲出マクロファージに菌を感染させサイトカイン産生応答を調べたところ、TLR2欠損型マクロファージでは、TNFαやIL-1などの炎症性サイトカイン産生はほぼ同様であったが、Th1細胞の分化誘導に重要なIL-12産生応答が亢進していることが明らかになった。これらの結果から、TLR2由来の異物シグナルが、他の異物シグナルに対して抑制的に作用し、IL-12の発現を抑えることによって免疫応答を現弱させている可能性が示唆された。
(2)細胞内寄生性細菌に対する獲得防御免疫誘導への細胞内異物認識系の関与
V-type ATPase阻害剤であるバフィロマイシンA1を用いて、菌の食胞から細胞質へのエスケープを阻害したところ、宿主によるIFN-γ産生応答は、エスケープできないリステリア変異株と同程度まで減少した。これらの結果から、感染細胞内における菌の細胞質への移行による局在の変化が、宿主内因性IFN-γ産生の誘導に重要な意味をもっていると考えられた。そこで、IFN-γ産生誘導に関わることが報告されているIL-12、IL-18、IL-23、IL-27などのTh1サイトカインの遺伝子転写および産生におけるエスケープ依存性を調べたところ、IL-12、IL-23、IL-27がエスケープに関係なく産生されるのに対し、IL-18は菌が細胞質にエスケープした場合にしか産生されないことが明らかになった。抗IL-18中和抗体を添加するとIFN-γ産生誘導は抑制され、エスケープできない変異株をrIL-18と共刺激するとIFN-γ産生が回復することから、菌が細胞質に侵入することによって何らかの細胞質内異物認識受容体が菌の存在を感知し、IL-18の成熟化を促進することによって、IFN-γ産生が誘導されると考えられた。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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