・定着因子である線毛の発現に影響を与える栄養素の検討 炭素源、窒素源となる基質の種類を変えた培地で菌体を培養し、線毛の主要なサブユニットの一つであるPilAの発現量の変化を調べることで、線毛発現と栄養条件との関連を解析した。 PilAの発現量を測定するため、pilAのプロモーター領域を野生株であるPAO1株からPCRにより得、lacZと融合させたプロモーターアッセイ用のプラスミドを作製した。PAO1株に導入し、基質を変えて培養した菌体でのβ-ガラクトシダーゼ活性を測定した結果、ヒスチジンで培養した場合コハク酸+塩化アンモニウム等、他の培地と比べ活性の低下が観察された。現在、引き続き基質の種類を変え活性測定を行っている。また、直接の応答因子であるPilR、窒素利用に関わる応答制御因子であるNtrC、炭素利用に関わる応答制御因子であるCbrBそれぞれの対応遺伝子欠損株を作製途中であり、それぞれの菌株についてpilAおよびpilBのプロモーターアッセイを行い、代謝との関連解析を進める予定である。 ・代謝酵素発現制御因子の制御機構解析 緑膿菌の代表的な代謝酵素発現制御因子であるCbrAB、NtrBCは、菌体付着因子である繊毛の発現制御因子(PilRS)と同じσ54依存性の2成分制御因子であるが、その詳細な制御機構は未だ十分に解析されていない。そこでヒスチジン代謝オペロンをモデルとした制御因子のDNA結合解析を行った結果、プロモーター上流に特異的な結合領域があることを10月に行われた日本細菌学会・関西支部会で報告した。また、緑膿菌のヒスチジン代謝についてPseudomonas Volume 5:A Model System in Biology(Springer)に共著執筆した。(印刷中)
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