リンパ球の体内での位置どりにはインテグリンなどの接着因子やケモカインなどの細胞遊走因子が重要な働きをしている。我々が単離した膜結合型ケモカインSR-PSOX/CXCL16はケモカイン受容体CXCR6を発現するNKT細胞やTh1細胞に対し、膜結合型は接着を可溶型は細胞遊走を引き起こす。我々はα-Galcerを腹腔内投与したところSR-PSOX/CXCL16 KOマウスでは野生型に比べて、IL-4は約70%IFN-γは約30%に産生が低下し、SR-PSOX/CXCL16がIFN-γの産生に重要であることを見いだした。この産生低下はSR-PSOX/CXCL16 KOマウスでの肝臓NKTの減少とNKT細胞に対してSR-PSOX/CXCU6がIFN-γ産生に共刺激シグナル活性有するという2つの原因によるものと考えられた。 α-Galcerを投与によりB16メラノーマがん細胞皮下注入後の増殖がIFN-γ依存的に抑制されることが知られている。我々はSR-PSOX/CXCL16ノックアウトマウスがこれらの抑制効果が見られないことを見いだした。この結果から生体内でα-Galcer刺激NKT細胞によるIFN-γ産生にSR-PSOX/CXCL16が実際に重要な働きをしていることが示唆された。 さらに我々はP.acnes投与により引き起こされるTh1細胞の形成がSR-PSOX/CXCL16 KOでは損なわれること、またP.acnes投与後7日後に少量LPSを静脈投与した際のIFN-γ産生が損なわれることを見いだした。これらの結果より、SR-PSOX/CXCL16はIFN-γ産生に関与しTh1環境の促進に関わることが示唆された。
|