1. 青森県における地域住民の生活圏の分析・評価 二次医療圏の圏域検証のための基礎資料とするために、青森県から発行されている通勤通学動向および買物動向(食料品)に関する統計資料に基づき、二次医療圏6圏域の中核都市を中心に移動選好指数(MPI)と地理情報システム(GIS)を用いてクラスター分析により市町村類型化を行い、地域住民の生活圏を検証した。その結果、上十三地域に属する横浜町の通勤通学動向および買物動向が下北地域の中心都市であるむつ市と強い繋がり(MPI>1000)が認められ、むつ市の生活圏に属していることが示された。その他の地域では他圏域との強い結びつき(MPI>1000)は認められず、現行の二次医療圏の中核都市を中心とした生活圏が形成されていた。市町村合併に伴う市町村境界線変更による通勤通学動向および買物動向への影響については、市町村合併前と同様の動向を示した。 2. GISを用いた二次医療圏の圏域検証と地域医療計画でのGISの有用性 GISを用いて、昨年度までに研究成果として得られた受療動向の分析結果に、地域住民の生活圏、医療機関、交通網、地勢などの地理的分布に関する情報の統合により可視化し、二次医療圏6圏域の検証を行った。その結果、上十三地域に属する横浜町が下北地域(むつ市)との結びつきが強く、現行の二次医療圏の圏域と一致しないことが明らかとなった。その他の二次医療圏の圏域については現行の圏域が概ね妥当であると判断できた。本研究成果よりGISは地域医療計画の策定・評価において有用なツールの一つになると言える。今後は新しい医療計画や介護福祉計画に基づき、4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)を中心とした医療資源の最適配置や医療連携体制の構築などにGISを応用し、より詳細な検証を行う予定である。
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