研究概要 |
昨年度,すべて電子情報化できなかった,診療情報請求書(レセプト)の追加電子化を行い,より正確な解析を行った.また,同一月に同一診療機関を複数回受診しているものを除いて,正確度を上げた上で,細菌性と明確でない上気道炎に関する抗菌薬の処方頻度を検討した.最終的に2577件の外来受診レセプトが解析された.サンプルは女性が66%,平均年齢は30歳であった.解析対象受診の約1割が時間外で,病院受診が23%であった.87%に何らかの処方が見られ,院内処方は64%であった.上気道炎の診断名がついている受診の5%が抗菌薬のみの処方,54%がうがい薬や解熱剤などの感冒薬と抗菌薬との同時処方があり,計60%の受診において,抗菌薬の処方が見られた.因子別に抗菌薬処方率を比較したところ,小児と年長者,院内・院外処方の比較では差がない一方,診療所の方が病院より,また時間内の受診の方が時間外よりも,抗菌薬の処方率は高いという結果であった.これを診療所,病院と層別化したところ,時間内,時間外の差は見られなかった. 処方された抗菌薬の種類を検討したところ,第3世代セフェムが最も多く,上気道の細菌感染症に対してガイドライン的に推奨されている,ペニシリン系,マクロライド系,第1,2世代セフェムは少数派であった.今回のサンプルの中で5名以上の上気道炎受診のある施設に対して,施設毎の抗菌薬の処方率を算定し,その分布を調べたところ,4〜50%程度に抗菌薬を出している施設と,90%程度に抗菌薬を出している施設数にピークが見られた.
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