平成18年度は、慶應義塾大学病院初期臨床研修プログラムの救急ローテーションの2ヶ月において、各研修医に2時間を1単位として、3〜5単位のシミュレーショントレーニングをルーチンに組み込んだ。内容はACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)やJATEC^<TM>(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)のような、従来から行われているシミュレーショントレーニングに加えて、1)意識障害患者の評価を行うトレーニング、2)災害医療トレーニングを行った。 意識障害患者の評価訓練として、GCS(Glasgow Coma Scale)およびJCS(Japan Coma Scale)のスコアリングに関する教材ビデオを作成し、ビデオを見ながらのスコアリング実習と、研修医が互いに模擬患者と医師に扮して行うシミュレーションを行った。災害実習に関してはスモールグループによるレクチャーとDIG(Disaster Imagination Game)を行った後に、マネキンや音響機器を用いたトリアージ訓練と、NBC災害に対応する防具服着用訓練を行った。 このようなシミュレーション訓練を通常の研修(病棟研修、救急外来研修、カンファレンス参加など)と比較評価した。ローテーション終了直後の研修医38人が各カリキュラムを5段階評価(1が最悪、5が最良)した。シミュレーショントレーニング、救急外来研修、病棟研修、カンファレンス参加、患者抄録作成の平均評点はそれぞれ、4.0、4.3、3.6、3.5、3.6であった。評価としては他の研修と遜色ない評価を得ており、次年度は、各シミュレーション内容別の評価や、新たな患者状況のシミュレーションの開発を行う予定である。
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