研究概要 |
本研究では、新規オンチップ型細胞培養システムの開発を行っている。この細胞培養チップはレーザー加工により微細な加工を施すことを目的としている。平成18年度の成果として、KrF excimer laser (248nm,1.6J/cm^2)を用いてマイクロメートル幅の細胞流路をチップ上に作製した。チップの素材は汎用性・加工性にすぐれているエポキシ樹脂を採用した。すでにセルチップ上における細胞培養能は従来の培養皿と同等かそれ以上という実験データを取得しており、細胞の培養をしやすい設計となっている。流路幅は、対象とする細胞の幅を考慮して設計し、培養しながら自動的に細胞が1列に並ぶような構造を施した。整列させた細胞で必要のないものは、レーザーアブレーションにより除去することも可能とした。この技術により一細胞計測を可能とした。来年度はセルチップ流路下面に遺伝子導入ベクターを固相化させることで、細胞との相互作用を実現させる。また、細胞流路とは別に加工された流路から投薬を行うような手法も試みる。細胞を培養する流路は、レーザー加工を用いるため、設計の自由度が高く、多品種・少量生産のプロセスに優れている。これらの解析から得られる情報は膨大であり、迅速渇簡便に使用できるような解析ソフトを同時に開発することにより、培養能の高度化、計測・制御の簡易化、回収の高効率化など、培養細胞管理の統合的システムの構築を目指す。
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