本研究は、難分解性有機フッ素化合物PFOS(perfluorooctane sulfonate)の誘導体であるn-EtFOSE(N-ethylperfluorooctane sulfonate amide ethanol)の総合的な曝露評価を目的として、子宮内曝露と幼若期曝露を実施する。これまで、設備的な問題(装置、実験の性質上、周囲の環境)もあり、吸入曝露は行われてこなかった。今年度は、吸入曝露装置を吸入曝露実験の実施に適した特殊実験室への移設を行い、吸入曝露を行うための環境を整えた。その後、吸入曝露を実施するために曝露濃度の維持について検討を行っている。また、曝露濃度、曝露期間等の基準設定を目的とした予備実験として、オスラットに、10mg/kg/dayで2週間にわたる経口曝露を行った。その結果、経口曝露によって、曝露期間中の体重、曝露終了日における各臓器重量(肺、肝臓、腎臓、精巣、前立腺、精嚢)に変化はみとめられなかった。現在、肝臓、精巣中の遺伝子発現変化について、マイクロアレイ法を用いた発現プロフィール解析を行い、本実験方法を確立を行っている段階である。平成19年度は、予備実験の結果を基にして、曝露濃度、曝露期間を設定し、n-EtFOSEによる1)子宮内曝露による仔の胎児期と成長後に与える影響、2)幼若期曝露に与える影響を、生殖系を中心に評価することにより、曝露影響が出現する時期を判定するとともに、曝露経路の違いや性差による影響の差異について、明らかにする予定である。
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