研究課題
我々は、エストロゲン代謝物カテコール体エストロゲンが解毒代謝酵素群の発現を制御している転写因子Nrf2を活性化させるか否かについて検討した。1.ヒドロキシエストロンによるNrf2依存性下流遺伝子の発現変動4-ヒドロキシエストロン(4-OHE_1)と4-ヒドロキシエストラジオール(4-OHE_2)をRAW264.7細胞に添加したところ、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)タンパク質発現を誘導した。さらに、グルタミルシステイン合成酵素軽鎖サブユニット(γ-GCS_L)発現も増加した。γ-GCS_L共に一過性の発現上昇作用を示した。同様の結果が、2-OHE_2でも検出された事から、オルト位のカテコール体に共通する作用であることが示唆された。2.ヒドロキシエストロゲンによるNrf2の活性化項目1の結果がNrf2の活性化に伴うものであるかを検討した。Nrf2の活性化には添加後の細胞核画分を用いたウエスタンプロット法およびNrf2結合領域を配したルシフェラーゼ法により検討した。その結果、4-OHE_1、4-OHE_2、2-OHE_2ともにNrf2活性化を検出した。3.2-メトキシエストラジオールによるNrf2の活性化ヒドロキシエストロゲンのNrf2活性化作用が、カテコール体に起因するものなのかを検討するために、2位の水酸基(-OH)がメトキシキ基(-OCH_3)に置換された2-OMeE_2を用い2-OHE_2と比較検討した。その結果、2-OMeE_2を添加してもNrf2活性化及ぴルシフェラーゼを活性化しなかった。カテコール体で検出されたNrf2活性化作用がメトキシ体で検出されなかった事から、カテコール体の最終酸化代謝物であるキノン型エストロゲンが、Nrf2を活性化させる可能性が示唆された。今後、キノン型エストロゲンの調製、それによるNrf2の活性化を検討する予定である。
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