目的:本研究は、青少年がコンドーム使用などの適切な予防行動を行うか否かについて意思決定を行う際、予防を行わない性行為をすることによって生じる性感染症や妊娠のリスクがどの程度であると認知しているか(リスク認知)が重要な要因であると考え、青少年の性に関するリスク認知を明らかにすると同時に、これを測る尺度を開発することを目的として行われた。 方法:本年度はまず、先行研究報告の収集や硬究代表者らが以前に行った関連の調査結果の整理を行った。次に大学生の研究参加者を募り、ブレインストーミング、フォーカス・グループ・ディスカッション、質問紙による自由記述や文章完成法などのアプローチを用いて、性行為とそのリスク関する認知ついて調査を行った。リスク認知に関する網羅的な概念を得るために多少の内容のずれを許容し、幅広い多様な意見を得るように努めた。得られたデータにコードを振り、K-J法によってカテゴリーへまとめるという方法により「性に関するリスク認知」に関する構成概念を抽出した。 結果:性に関するリスク認知に関して得られたカテゴリー(構成概念)は、身近な経験、コンドームへの信頼、セーファーセックスへの自信、ローカスオブコントロール、パートナーの感染可能性(特定の相手)パートナーの感染可能性(不特定の相手)、相手への信頼、結婚への期待、結果の重大性・不可逆性、流行に対する認識、将来への期待、恐怖などであった。 以上により、青少年の性に関するリスク認知の構成概念を作成し、リスク認知評価用の質問票を作成するための基盤づくりを行った。 平成19年度は、これを質問票にまとめ、信頼性妥当性の検討を行う予定である。
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