本研究課題は、2001年より滋賀医科大学とピッツバーグ大学が共同で行っている日米の40歳代男性の動脈硬化進展度の比較に関連した研究課題である。B本人の方が血圧・喫煙率が高く、食生活の欧米化に伴い、40歳代日本人のコレステロールレベルは米国白人と同程度になっている。このような条件の下で、これまでに動脈硬化の進展度を電子ビームCTによる冠動脈石灰化および頚動脈超音波検査による内膜中膜肥厚などの指標を用いて日米で比較したところ、古典的危険因子が日本人で不利であるにもかかわらず、米国人の方が動脈硬化ははるかに進展していることが明らかになった。即ち、動脈硬化性疾患予防の鍵は本邦の40歳代男性の環境因子にあると考えられた。 そこで、動脈硬化進展度に影響を与える危険因子および予防因子を多面的に調べる中で、近年明らかになってきた睡眠と動脈硬化性疾患との関連、殊にインスリン感受性・抵抗性を介した影響について調べるのが本研究課題の目的である。共同研究者であるピッツバーグ大学側の研究の進捗と合わせ、インスリン感受性・抵抗性に関する精密な検査を実施するため、平成18年度は調査開始までの準備を行い、実際の調査は平成19年度に行うこととしているため、研究補助金の配分も平成18年度を全体の20%、平成19年度を全体の80%としている。したがって、平成18年度については情報収集および調査準備を行った。今年度の成果として、上述の日米比較研究のデータを用いて、インスリン感受性・抵抗性に関連する要因についての成果発表を行ったこと(研究発表の項参照)、ローマで行われた国際動脈硬化学会の折に情報収集活動を積極的に行い、インスリン感受性・抵抗性の両方を比較的簡便に調べられる方法についての情報を得て、平成19年度の調査実施の準備が出来たことが挙げられる。
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