研究概要 |
方法:精神保健非専門家(看護,介護職等)に対し,精神障害に関する教育的介入を実施した。そして,このプログラムの評価を,精神障害に関する正しい知識の定着,意識の改善をアウトカム指標として,介入の前後で比較した。介入プログラムの内容は,精神科救急で遭遇しやすい疾患の説明,対応法,そして回復の過程である。これらの状況で,支援者に求められる姿勢や,モデル実践,その原則について講義を行った。介入を実施する前と,研修実施後,そして6カ月後に,精神障害に関する知識,社会的距離を含む意識,参加者自身の生活の質(QOL)を検討した。測定尺度は,先行研究で既に用いられている既存の評価尺度や,QOLについてはSF-8を用いた。結果:研修前調査回答者は45名,研修後調査回答者は39名であった。分析は,研修前調査と研修後調査の両方に回答した39名を分析対象とした。援助に対する自信は,研修前が1.69点(標準偏差:0.66),研修後が1.90点(標準偏差:0.66)(p<0.05)と改善していた。統合失調症のケースの記述を提示して,統合失調症のケースと認知した人の割合は研修前後で変化しなかった。統合失調症に対処する際,一般開業医または家庭医が「助けになる」と回答が増加した。また,研修後調査において,社会的距離は3.45(標準偏差: 0.86)から3.26(標準偏差:0.71)と低下していた(p<0.05)。また,精神面のQOLは研修後で改善傾向が見られた(研修前得点:46.20(標準偏差:6.74),研修後得点:48.13(標準偏差:6.78),p値:0.052)。考察:精神保健非専門家を対象とした短時間の教育的介入によって,知識,社会的距離,精神面でのQOLに好ましい効果がみられた。今後はコントロール群との比較により本研修の効果を検討する必要がある。
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