2006年に大阪府内におけるHIV感染に対してリスクの高い行動をとっていると思われる人々を対象に行った抗体検査は3263件でそのうち25件が陽性であった。25件はすべて日本人男性で、その大部分は男性同性間性的接触による感染であった。 陽性検体の中で遺伝子解析によりサブタイプの解析が可能であった検体は24件であり、塩基配列分析からサブタイプを同定した結果、サブタイプBが23件、サブタイプAEが1件であった。V3領域の塩基配列を基に系統樹解析を行った結果、サブタイプBに着目すると、2000年以前に検出したウイルスと比べて高い遺伝的多様性を示していた。しかしその中で、高い相同性を有するウイルスに罹患している複数のグループも見い出された。 2006年には感染初期と思われる検体が6件あり、サブタイプAEが1件とサブタイプBが5件であった。本研究は1992年から行っているが、日本人男性でサブタイプAEがみつかったのは2002年に感染ルート不明だった1例があったが、2006年にはサブタイプBが主流である男性同性間性的接触でみつかった。感染初期と思われた5件のサブタイプBの検体についてはそれぞれ異なるコミュニティーで感染していると思われる解析結果が得られた。 これらの結果からHIV-1は多様性を増しつつ調査地域で広がり続けていることが明らかとなった。
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