研究概要 |
目的:月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder : PMDD)が月経周期性に認知的特徴を変動させるかどうかを実験的に検証するために、前向き法による被験者抽出を試み、かつ実験課題を完成させることを年度目的とした。 実験装置の作成:選択的注意バイアスを測定するための視覚的計算課題(ポジティブ語・ネガティブ語・中性語の出現数を数える。語の提示順は無作為。コンピュータスクリーンの中央に、黒大文字で単語を提示する。各刺激は50ミリ秒提示され、2秒間の刺激間間隔とする)のためのソフトウエアを作成した。 対象者の選定:〔PMDD群〕大学生に対してPMDD診断基準案(DSM・IV)に基づいた質問紙検査を実施し、スクリーニングを行った。PMDDが疑われ、かつ同意が得られたものに対して前方視的症状評定であるthe Dairy Record of Severity of Problems(DRSP)を,月経周期2回において実施した。DRSPの評価法に基づき黄体期後期を月経前1週問、卵胞期中期を月経開始後6-10日と定義し、それぞれの時期での症状評定に関して症状毎に平均値を算出する。黄体期後期から卵胞期中期にかけての症状変化率の基準はNational Institute of Mental Healthの推奨する30%を採用し、2周期ともに抑うつ感、不安感、情緒不安定性、易怒性を1つ以上含む5つ以上のPMDD症状が確認された28名を抽出した。〔軽症抑うつ群〕大学生1500名に対してThe Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)を用いてスクリーニングを実施し、カットオフポイントを超えた32名を抽出した。〔健常コントロール群〕除外診断を受け、健常と判断された30名を抽出した。
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