【目的】: PMDDが月経周期性に認知的特徴を変動させるかどうかを検証する。 【方法】被験者: (1)PMDD群: DRSPを月経周期2回において実施し、2周期ともに5つ以上のPMDD症状が確認された11名。平均年齢は21.2歳(SD=3.1)。(2)軽症抑うつ群: CES-Dが平均+0.5SD以上(21点)であり、PMDD診断基準に基づいた質問紙検査にて回顧的にPMDD傾向者とならなかった10名を抽出した。平均年齢19.8歳(SD=2.5)。(3)健常群: CES-Dが平均-0.5SD以下(10点)であり、PMDDが除外された12名。平均年齢20.8歳(SD=1.2)。質問紙: POMS、推論の誤り尺度。事象関連電位(P300振幅):聴覚的odd ball課題。標的刺激(Target)には1100Hz(呈示確率20%)、非標的高頻度刺激(Non-Target)には1000Hz(呈示確立80%)の純音を使用。手続き:同一被験者が黄体期後期と卵胞期中期で、気分及び認知の査定と、聴覚オドボール課題を行い、P300振幅を測定した。 【結果】(1)POMS抑うつ尺度の月経周期内気分変動:PMDD群の黄体期後期は卵胞期中期に比して有意に高い値を示した。 軽症抑うつ群、健常群に月経周期差は認められない。(2)月経周期内P300注意機能変動: PMDD群はC3、 C4、 Fz、 Cz、 Pz全部位において有意差はみられない。軽症抑うつ群はC4、 Czで有意差が見られた。(3)月経周期内推論障害変動: PMDD群では、卵胞期に比べて黄体期が有意傾向で高い値を示した。軽症抑うつ群は月経変動を示さない。 【結論】PMDD群は月経周期性に抑うつ感、推論障害が変動し、軽症抑うつ群とは区別される。
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