研究概要 |
本研究において,申請者らはC型肝炎ウイルス(HCV)増殖を制御するインターフェロン誘導遺伝子(ISG)を同定して,その増殖制御機序を解析することを目的とした。細胞内HCV増殖細胞侃CVレプリコン増殖細胞,Huh7/Rep)におけるISGの遺伝子発現量を定量化し,個々のISGの増殖抑制効果を解析し,以下の結果を得た。 (1)HCVレプリコン発現細胞におけるISG発現レベルの解析: naive Huh7、Huh7/Repからtotal RNAを抽出し、リアルタイムRT-PCR法により個々のISGの遺伝子発現レベルを定量的に解析した。解析したISG : IP10,MK, IL8,MxA, PKR, GBP-1,IFI-56K,250AS, IFP35,IRF-9,STAT1α, STAF50,IFI-6-16,ISG15,IFI-27,PLSCRI, TRAIL, XAF1,LMP7-E1,MECL 1,RING4,9-27,Mac2BP, RIG-G, NP, HCV micro tubul, IRF-1について,遺伝子発現レベルは,naive Huh7細胞に比べて,Huh7/Rep細胞で発現レベルは全般的に低下していた。 (2)ISG発現プラスミドの構築、及びレポーターアッセイ: 各々のISGのレプリコン増殖抑制効果を解析するため、18種類のISG発現プラスミドベクターを構築した。Huh7/Rep細胞に、構築したISG発現プラスミドを導入し、HCVレプリコンの増殖抑制効果を解析した。解祈したISGのうち,PKR, MxA, IRF-1,IRF-9。250AS, GBP-1,IFI-6-16,IFI-27の強制発現により,HCVレプリコン増殖を有意に抑制した。今回申請者らは,既知のISGの他に,GBP-1,IFI-6-16,IFI-27がHCV増殖を抑制することを新たに見い出した。 今後この結果をもとに,新たに同定したISG(GBP-1,IFI-6-16,IFI-27)のHCV増殖抑制機構を解明し,新たな抗HCV治療につながる検証を進める。
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