今年度は、カハール介在細胞の発生に関わる遺伝子群を探索するため、カハール介在細胞特異遺伝子c-kitが突然変異により欠損するマウスWB-W/Wと同腹野生型マウスWB-+/+の胎生期の小腸よりRNAを抽出してcDNA合成を行うとともに、ジェノタイピングを平行して行った。 1.平滑筋前駆細胞からカハール介在細胞へと分化する時期を特定するため、カハール介在細胞に特異的に発現するc-kitと平滑筋に特異的に発現するdesminについてTaqmanプローブによるリアルタイムPCRを用いて発現量を解析する予定である。このため、WB-W/WとWB-+/+のE13、E14、E15、E18、P0、P3、P7、P21、P42(W/Wは生後10日程度で死亡するため、P21、P42に関しては+/+のみ)のマウス小腸を摘出し、RNA抽出、cDNA合成を行った。また、同時に胎児のジェノタイピングのため、組織の一部を摘出、ゲノム抽出を行った。 2.ジェノタイピングはリアルタイムPCRにより行った。W変異はc-kit遺伝子のintron10のGGTGA→GATGA、GからAの点突然変異であるため、この部位にプローブを設定し、primerもこの部位の近傍に設定した。リアルタイムPCRの解析には、各群nが5匹以上必要であり、ジェノタイピングにより、E13、E14、E15、E18、P0、P3、P7、P21、P42、それぞれ5匹以上ずつ確保されたことを確認し、サンプル採取を終了した。 次年度以降はこのサンプルを用い、リアルタイムPCRにより平滑筋前駆細胞からカハール介在細胞への分化時期を特定し、その段階でのWB-W/WとWB-+/+のマウス小腸のsubtractive hybridizationを行うことでカハール介在細胞の発生に関わる遺伝子群を同定していく予定である。
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