研究概要 |
昨年度はC型肝炎ウイルス(HCV)のB細胞ELISPOT法の開発を行い,Umemura, et al.Hepatology 2006;43:91-99に臨床的に応用が可能であることを報告した。本年度の研究目的はB細胞ELISPOT法を用いてペグインターフェロンα+リバビリン併用療法を行うC型慢性肝炎患者で前向きに検討を行い治療効果の予測が可能であるか,さらにB細胞数の変化と治療効果に相関があるかどうかについて検討することである。信州大学医学部附属病院消化器内科で48週間のペグインターフェロンα+リバビリン併用療法を行うC型肝炎患者40名において治療前の末梢血単核球を分離した。今後は患者数を増やすとともにこれらの患者についても治療開始24週,治療終了時(48週),治療終了後24週の残りの3ポイントについても前向きに末梢血単核球を分離,保存する予定である。これらの細胞が集まったところでコア,E2,NS3,NS5Bの4種類のHCVタンパクを抗原としてELISPOT法でHCV抗体産生B細胞数を測定する。 また,C型慢性肝炎患者においてHelcobacter pylori(H.pylori)抗体陽性者はインターフェロン治療効果に影響を与えるか検討を行った。H.pylori抗体陽性者は陰性者と比較してHCV RNA量と血小板数がそれぞれ少ないことが判明した。H.pylori抗体価は肝の線維化と相関し血小板数とは逆相関することが明らかとなっだが,インターフェロンの治療効果には影響を与えなかった。多変量解析にてH.pylori抗体陽性と線維化の進行が治療中の血小板数の減少に関与するという知見を得た。
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