研究課題
Birt-Hogg-Dube(BHD)症候群は1977年に報告されたヒトに毛嚢の過誤腫、腎腫瘍および自然気胸を起こす先天性遺伝性症候群である。最近、ヒトでは責任遺伝子BHD geneが17p11.2に同定され、BHD患者の多くにはexon11に存在するpoly(C)tractの変異が検出されている。BHD遺伝子は一部の大腸癌の発育進展に関与している可能性が示唆されているが、まだ十分な研究がなされていない。表面型早期大腸癌37症例を対象に、病変のあらゆる部分を粘膜内、浸潤部、異型度に分けてマイクロディセクションしヽ得られたDNAを用いてBirt-Hogg-Dube(BHD)遺伝子の変異の報告されている領域であるexon4、7、8、9、11、12ヽ13ヽ14の変異の有無についてSSCP法で検出した。microsatellite instability(MSI)陽性2症例のうちの1症例でexon11に変異を認めたが、その他の領域では明らかな変異は認めなかった。なお、Mslに関してはBAr25、BAr26、D2S123、D5S346、D17S250を用いて3/5以上を陽性とした。これまでの結果からは表面型早期大腸癌におけるBHD遺伝子の変異はMSI陽性症例においては関与している可能性があるものの、基本的に稀であると考えられる。今年度はさらに症例数を増やして検討していく予定である。また、表面型早期大腸癌を対象にその他のがん関連遺伝子に関しても検討していく予定である。BHD遺伝子の変異に関してはMSI陽性大腸癌(HNPCC)の症例の16%にexon11で変異が認められているという報告があり、MSIのtarget遺伝子である可能性が示唆されている。そこで、MSI陽性の頻度が比較的高いと報告されている大腸病変であるLarge hyperplastic polyp およびSerrated adenomaについて各々20症例ずつMSIの有無について調べたが、この40症例の中に明らかなMSI陽性症例は認められなかった(上記のマーカーによるMSIはすべて2/5以下であった)。今後もMSI陽性症例の多い群を検索し、それらについてMSIの有無を調べた上でBHD遺伝子の変異について検討して行きたいと考えている。
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