血管内皮前駆細胞を培養するため、ヒトの末梢血より濃度勾配法にて抽出した単核球を血管内皮増殖因子含有の培養液中に混ぜ、ゼラチンコートした培養皿上でこの単核球を培養した。約5〜7日程度でブラッドアイランド様の細胞コロニーを形成した。さらに10日頃になると培養皿一面にスピンドル状の細胞が認められるようになった。一部では血管に極めて類似したコード様構造物を形成していた。これまでの報告から、これらの細胞が血管内皮前駆細胞と考えられ、血管内皮前駆細胞の培養に成功した。 供与して頂いたヒト型肝細胞増殖因子遺伝子をアデノウイルスベクターに導入し、ヒト型肝細胞増殖因子遺伝子の発現を確認した。ヒト型肝細胞増殖因子遺伝子を導入したアデノウイルスベクターを血管内皮前駆細胞に感染させ、血管内皮前駆細胞からヒト型肝細胞増殖因子が発現できるか検討中である。現時点ではアデノウイルスによる細胞障害により血管内皮前駆細胞の数が維持できないこと、また感染効率が悪く10%未満であり、in vivoの研究を進めるに当たりヒト型肝細胞増殖因子が十分に発現されない可能性があることが問題点である。今後はこれらの点を改善するように研究を進めていく必要がある。
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