研究課題
1.ナノ粒子の細胞内送達培養ヒト冠動脈血管平滑筋細胞の蛍光色素封入ナノ粒子の取り込みを観察した。血清を加えた培養液に異なるPLGA濃度のPLGAナノ粒子(0.1mg/mL、0.25mg/mLおよび0.5mg/mL)を添加したところPLGAナノ粒子は60分以内に90%以上の細胞に取り込まれることが観察された。また興味深いことに核周囲に集積している像が観察された。導入効率を経時的に観察したところ低濃度のナノ粒子であっても5分後には60%以上、高濃度だと90%以上の細胞に取り込まれた。また、共焦点レーザー顕微鏡で三次元的に観察したところ確かに細胞内にナノ粒子が取り込まれていることを確認した。また、透過型電子顕微鏡で観察したところライソゾームにナノ粒子が取り込まれているのが観察されたほか、細胞質内に多くの空胞が観察され、ライソゾームに取り込まれなかったナノ粒子も多く細胞質内に存在することが示唆された。2.マウス脳虚血、再灌流モデルの作製Iwaiらの報告にある方法に準じて、脳虚血、再灌流モデルを作製した。左総頚動脈および外頚動脈を剥離し、8-0ナイロン系の先端に直径が0.2ミリになるようシリコンでコーティングした栓子を内頚動脈から挿入し中大脳動脈に達した部分で留置し結紮した。虚血-再灌流モデルはこの時点で結紮せず1時間後に栓子を抜き血行を再灌流させた。3.マウス脳虚血、再灌流モデルへの静脈内投与マーカー(FITC)封入ナノ粒子が効果的に細胞内に送達されることを脳虚血-再灌流モデルで明らかにした。マーカー封入ナノ粒子を再灌流直後に静脈内投与したところ、脾臓、腎臓、肝臓、すい臓に多量のナノ粒子がトラップされているのが観察された。脳においては虚血領域、正常領域とも、わずかにナノ粒子が認められたに過ぎなかった。ナノ粒子の脳への送達効率をさらに向上させる必要があると思われる。
すべて 2007
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