(1)Abhd2遺伝子変異マウスを用いた解析 ApoEとAbhd2とのDouble KOを樹立した。現在までDouble KOマウスとApoE KOマウスでは、Double KOマウスの体重減少を認め、動脈硬化病変の減少傾向を認めているが、その他の明らかな表現型は現在の所、認めていない。今後、当初の計画通り数を増やしてAbhd2遺伝子の血管における影響(動脈硬化初期病変)を解析する予定である。また、in vitroの解析では、Abhd2 KO homoより得られた細胞は、wildに比べ、血管平滑筋細胞では細胞骨格の異常(アクチン構造)が認められ、また腹腔マクロファージでは、wildに比べhomoは、ビーズの取り込み低下傾向を認めた。今後さらに詳細な解析を行う予定。 (2)ヒトABHD2の役割の解析 ヒト冠動脈病変サンプルにおいて生体内の平滑筋細胞およびマクロファージにhuman ABHD2遺伝子の発現を認めた。マクロファージにおけるABHD2遺伝子の機能解析の為、初代培養ヒトマクロファージを用いてin vitro解析を行った。その結果、マクロファージ分化とともにABHD2遺伝子発現上昇を認めた。さらにsiRNA Knockdownの実験を試みたが、残念ながら系を樹立できなかった。しかし、ヒト単球・マクロファージの細胞株であるTHP-1を用いてcellshRNA vectorを導入し、ABHD2 kockdown cell lineを樹立することができた。今後、分化、Acetyl LDL uptake能を解析する予定である。上記のマウス腹腔マクロファージの解析より得た結果より、ヒトABHD2においても同様な結果を得られるかどうか解析も行う。
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