研究概要 |
今回の研究においては、心房細動において血小板の活性化の亢進が起こるという仮説、及びpilotstudy結果に基づいて計画を立案メ実行した。実際の患者検体の測定・解析塞により慢性心房細動での血小板接着因子P-selectionとそのリガンドであるPSGL-1の活性亢進、及び凝固系亢進マーカーである組織因子の上昇が新たな知見として得られた。また、発作性心房細動検体ではP-selection,PSGL-1の上昇は見られたが組織因子の上昇は認めず、心房細動誘発による血栓傾向発現の継続的な変化が明らかとなった。さらにこれらの活性化は顕微鏡的に血小板・単核球接着の観察により証明された。以上の結果に関しては日本循環器学会で発表した後、論文として纏め投稿中である。 ステント留置後の血栓マーカーの検討については薬物溶出性ステント(DES)、及びベアメタルステント(BMS)について血小板活性化・凝固系亢進の因子について比較検討した。(1)ADAMTS-13(2)von Willebrand factor(3)P-selection(4)PAT-1(5)MCP-1(6)組織因(7)高感度CRP(8)FDP(9)D-Dimerを各ステント群につき留置2ケ月後、及び6カ月後に測定し比較検討した。結果、血小板活性化関連ではADAMTS-13が有意差を持ってDES群で上昇しており、P-selectionが上昇傾向にあった。但し組織因子、FDP等に差はなく両群間では凝固関連因子に違いはなかった。以上によりDES留置後の内皮化のマーカーとしては血小板の活性を鋭敏に表す因子が有用でありADAMTS-13はその有力な候補であった。さらに既に報告させているが、DESにおける留置後のMCP-1・高感度CRPの低値に関しても追加実証された。これらの結果については長期の再狭窄結果を踏まえて現在さらなるデータを収集中である。
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