研究概要 |
大動心不全モデルにおけるアディポネクチンの関与 1.ペーシング心不全モデルにおけるアディポネクチンの関与(n=8) ビーグル成犬を240/分で4週間ペーシングを行い、ペーシング前(前)とペーシング4週間後(後)の心拍数、血圧、スワンガンツカテーテルを用いて肺動脈圧、肺動脈楔入圧、右房圧および心エコー法で左室拡張末期径、左室収縮末期径、左室短縮率を計測し、さらに血中アディポネクチンレベルの測定を行った。心拍数(前:127±12→後:130±7/分)および平均血圧(前:102±5→後:106±4mmHg)は変化しなかったが、平均肺動脈圧(前:15±2→後:26±3mmHg,p<0.01)、肺動脈楔入圧(前:9±1→後:20±2mHg,p<0.01)および右房圧(前:5±1→後:10±1mmHg,P<0.01)は上昇した。さらに左室拡張末期径(前:30±1→後:36±1mm,p<0.01)および左室収縮末期径(前:20±1→後:33±1mm,p<0.01)は拡大し、左室短縮率(前:35±1→後:10±1%,p<0.01)は低下した。また、血中アディポネクチンレベル(前:34±5→後:24±4μg/ml,p<0.05)は低下した。 2.陳旧性心筋梗塞心不全モデルにおけるアディポネクチンの関与(n=5) ビーグル成犬の冠動脈左前下行枝を結紮することで、陳旧性心筋梗塞モデルが作成される。かかるモデルにおいて梗塞前(前)と、梗塞4週間後(後)に、ペーシング心不全モデルと同様の検討を行ったところ、ペーシング心不全モデルと同様に血中アディポネクチンレベル(前:39±10→後:25±7μg/ml,p<0.05)は低下した。 心不全は非虚血性心不全および虚血性心不全に大別されるが、今回の検討により、血中アディポネクチンは心不全の原因にかかわらず、低下することが明らかになった。
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