ブレオマイシンモデルマウスに対しimatinibが抗線維化効果を示すことはすでに報告している。さらにブレオマイシン誘発肺線維症モデルに対し、imatinibを前半と後半に分けて投与したところ、前半投与群のみで有意に肺線維化を抑制した。 後半投与群におけるimatinib耐性に関して解析したところ、ブレオマイシン誘発肺線維症モデルにおいて炎症性蛋白である{alpha}1-acid Glycoprotein(AGP)が後半で上昇してくることが分かった。AGPはimatinibとbindingしその作用を抑制することがわかっており、さらにマクロライド(エリスロマイシン、クラリスロマイシン)を添加することによりAGPとマクロライドがbindingしAGPによる耐性を解除することができた。ブレオマイシン誘発肺線維症モデルにおいてimatinib後半投与にマクロライドを併用することにより有意に肺線維化を抑制することができた。さらにIPF患者においてもAGPの上昇が確認されimatinibをIPF患者に応用する際にはマクロライドの併用が推奨されると考えられた。 さらに炎症期と考えれらる前半でのimatinib投与がなぜ強力な抗線維化効果を有するのか検討を行った。近年、骨髄由来の前駆細胞であるfibrocyteが末梢血液中から肺へ遊走されfibroblastとなり線維化に関与するということがさかんにいわれている。このfibrocyteの遊走にimatinibが関与している可能性について着目した。人末梢血液中からfibrocyteを分離しFACSにより解析したところPDGFレセプターの発現が認められた。さらに遊走実験をおこなったところ、PDGF刺激にてfibrocyteの遊走が確認され、imatinib併用によりその遊走は抑制された。続いてブレオマイシン誘発肺線維症モデルにおいてimatinib投与群とPBS投与群をday7にsacrificeし、マウス肺のsinglecell suspensionをFACSにて解析したところ、PBS投与群ではCol-1+CD45+CXCR4+のfibrocyteが著明に認められるのに対し、imatinib群では有意に減少していた。
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