特発性間質性肺炎、その中でも特発性肺線維症は肺間質および肺胞腔に線維化を中心とする組織リモデリングを来し、呼吸不全に至るきわめて予後不良の疾患である。その病態解明および臨床の揚における薪しいバイオマーカーの開発は我々呼吸器・臨床医にとって急務である。本研究において我々は間質性肺炎53症例の肺組織におけるオステオポンチン(OPN)の発現を検討し、その発現と病理組織型や各臨床因子との相関について検討;した。OPNはusua linterstitial pneumonia(UIP)やfibrosing nonspecific interstitial pneumenia(NSIP)などの肺胞マクロファージに強発現しており、その発現は%Vitalcapacityと負の相関を認めた。一方cellularNSIPやDesquamativeinterstitialpneumonia、Organizingpneumonia症例ではOPN発現は陰性であった。 今年度、我々はさらにUIP・NSIP症例において性別、年齢、%VCや病理組織型などの各臨床因子を変数として含めた多変量解析を施行し、OPN発現はステロイド治療不応性と統計学的に有意な相関を認めた。これらの結果からOPNは肺間質および肺胞腔の線維化・リモデリングに関与している可能性があり、その発現はステロイド治療反応性を予測する新規バイオマーカーになりうる可能性が示唆された。 現在、我々はブレオマイシン肺線維症マウスモデルでOPN中和抗体を用いた治療実験も施行中である。将来的にはOPNをバイオマーカーとして、また治療のターゲットとして臨床応用させることを目標とする
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