転移性肺癌モデルにおけるE3リガーゼノックダウン効果の検証:作成したmiRNA発現レンチウイルスベクターを用いて、MDA-MB231細胞株でE3リガーゼSmurf2及びSmurf1の安定的なノックダウンをウェスタンブロッティングで確認した。これらのE3リガーゼは受容体をユビキチン化・分解してTGF-βシグナルを抑制することが報告されているが、ノックダウンが同細胞で実際にシグナルに影響するか否かを標的遺伝子発現やシグナル伝達分子Smadのリン酸化レベルで確認した。その結果一方のE3リガーゼのノックダウンによって予想外に他のE3リガーゼの蛋白量が増加すること、シグナルへの影響が一方で認められないことが明らかとなった。この点について更なる解析を行い一方のE3リガーゼが別のE3リガーゼをユビキチン化・分解していることを初めて見出し発表した。 肺癌モデルにおけるE3リガーゼの効果の検証:前年度の肺腫瘍細胞での検討に加えてマウス肺組織でのArkadiaをはじめとしたE3リガーゼの発現をRT-PCRで確認した。合わせて既に同定していたArkadia結合蛋白RB1CC1が同様に肺組織で発現していたことに注目し、ArkadiaのTGF-βシグナル増強作用へのRB1CC1の役割を解析し報告した。またArkadiaの新たな基質としてがん遺伝子c-Ski/SnoNを同定し報告した。今後肺癌モデルでのこれらの知見を踏まえた上でのさらなる検討を計画している。
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