• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

ノカルジアの宿主細胞感染に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18790556
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

石野 敬子  国立感染症研究所, 生物活性物質部, 主任研究官 (50332359)

キーワード感染症 / 細菌 / ゲノム
研究概要

本研究は、ノカルジア唯一のゲノム決定株であるN. farcinica IFM 10152の宿主細胞感染に関与する因子の同定を目的としている。本年度は、前年度までにマイクロアレイ解析で違いの認められた遺伝子群の検討、およびノカルジアの病原関連候補遺伝子破壊株の感染実験を行なった。
1.N. farcinica感染J774A. 1細胞のマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析の結果、非病原性近縁菌であるR. rhodochrous感染細胞に比べ、炎症性サイトカイン関連遺伝子が顕著に低下していたため、RT-PCR,およびELISA法により、これらの遺伝子発現および産生量を検討した結果、有意に低下していることが示された。さらに、ヒト単球由来THP-1細胞でも同様の結果が得られた。
2.ノコバクチン生合成遺伝子破壊株(ΔnbtE)のJ774A.1細胞に対する細胞障害性を検討した結果、感染24時間後、野生株感染細胞の80%以上が細胞障害を示したが、ΔnbtE株感染細胞では10%だった。さらにマウス感染実験の結果、ΔnbtE株の感染は、野生株で認められるマウス致死性および臓器病変(脾臓肥大、腎、脳)を認めなかった。遺伝子相補株は、細胞障害性およびマウス致死率の回復を示したが、野生株レベルの回復は認めなかった。これは遺伝子相補株のノコバクチン生産量が野生株の20%以下であることが原因と推察された。以上、ノコバクチンはN. farcinicaの病原性に関与していることが示された。
3.ノカルジアのグルタミンアミドトランスフェラーゼ遺伝子(ΔltsA)破壊株のJ774A.1細胞への感染実験の結果、ΔltsA株は野生株と比較し、細胞内生存率の低下、炎症性サイトカイン産生量の増加が認められた。以上より、本遺伝子産物のN. farcinicaの病原性への関与が示唆された。現在、マウス感染実験および細胞レベルの分子機構を検討中である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Structure-Activity Relationship Study of 8-amino-2, 8-dideoxy-β KDO, a Potent CMP-KDO Synthetase Inhibitor2008

    • 著者名/発表者名
      Adachi, H
    • 雑誌名

      Lett. Drug. Des. Discov. 5

      ページ: 336-339

    • 査読あり
  • [学会発表] Identification of two gene clusters for nocobactin biosynthesis in Nocardia farcinica2008

    • 著者名/発表者名
      Hoshino, Y.
    • 学会等名
      UK-Japan Workshop on Genomics of Antibiotic-producing Actinomycetes: Implications and Applications
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20081030-1101
  • [学会発表] 病原性放線菌Nocardia farcinicaにおけるアミノ配糖体リン酸化酵素遺伝子の同定2008

    • 著者名/発表者名
      藤井匠子
    • 学会等名
      第23回日本放線菌学会大会
    • 発表場所
      山梨
    • 年月日
      20080710-11
  • [学会発表] 病原性放線菌ノカルジアのジオロフォア生合成遺伝子の細胞障害性への関与2008

    • 著者名/発表者名
      石野敬子
    • 学会等名
      第82回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20080312-14
  • [備考]

    • URL

      http://nocardia.nih.go.jp/

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi