研究概要 |
大阪大学医学部附属病院・大阪府立急性期総合医療センター・大阪労災病院に通院中のIgA腎症の患者650名から同意取得ならびに採血を終了させた。このうち400名については遺伝子多型の解析も終了しており、遺伝子解析未解析のものは250名である現在までに、この研究対照群の初期データのデータベースは完成しており、初期データからの腎不全進行の進行は15年でクレアチニンの1.5倍化をとると31%、透析導入をとると13%であることが明らかになった。また、現在までに解析を終了させている対象において、ACEの多型であるDD,DI,IIアレルが末期腎不全へのリスクとして関与していることが明らかになっており、動脈硬化関連遺伝子が慢性腎不全伸展に対して寄与していることが明らかになり本コホートで腎不全への伸展リスク遺伝子評価が可能であることが確かめられた。また、腎不全進行へのリスクファクターを初期のデータから多変量解析を行うと喫煙が独立して有意な要因となることがあきらかになった。さらに、この喫煙の影響は、GFRによって異なり90ml/min以上ではリスクを上昇させないのに対してGFR60ml/minから90ml/minでは2.15倍、GFR60ml/min以下では4.93倍とし、腎機能によって影響が異なることが明らかになった。これらの結果を現在投稿中である(Clinical Journal of American Society of Nephrology insubmission)。さらに、IgA腎症の治療反応性について検討を行っており、ステロイドの治療効果は従来の報告である尿蛋白1g以上のみならず、0.5g以上でもあることが明らかになった。また、ACE-1,ARBの治療への効果も検討しており、GFR60ml/minから90ml/minの群から治療効果がありステロイドの治療効果とは独立していることが明らかになった。これらの治療介入効果について現在投稿中である。(Kidney International insubmission)。
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