1.PN-1のプロスタシン活性阻害作用、マウス腎皮質集合尿細管培養細胞(M1細胞)でのプロスタシン分泌抑制作用についての検討 プロスタシン蛋白とPN-1蛋白を37℃で30分間混合インキュベートした後、特異蛍光基質であるKHYR-MCAを用いてプロスタシンのプロテアーゼ活性を測定したところ、活性はPN-1濃度依存的に抑制された。さらにPN-1 siRNAおよびnegative control siRNAをリポフェクタミンにてM1細胞に導入し、24時間後にEVOMにてIeqを測定したところ、PN-1 siRNAを導入したM1細胞でIeqが約60%増加した。さらにM1細胞に精製PN-1を添加し、Ieqを測定した結果、濃度依存的に電流は抑制された。これらのことから、PN-1はプロスタシン活性を阻害することによって集合尿細管でのNa再吸収を制御していることが示唆された。また、M1細胞に精製PN-1を添加し、細胞培養液のウエスタンブロットではPN-1のプロスタシン分泌抑制作用は明らかではなかった。精製したPN-1を食塩感受性高血圧ラットに投与してその降圧利尿作用を評価する実験では精製PN-1が数mg単位と大量に必要となるため、尿からの精製では絶対量が不足する。そのため精製方法については大量の蛋白を得られるリコンビナントヒトPN-1蛋白の作成を検討している。 2.食塩感受性高血圧症患者における尿中PN-1分泌量と血圧値の相関関係の検討 PN-1に対する抗体については現在作製中であり、抗体ができた段階で抗体の評価を行ない、PN-1特異的ELISAの開発に向けて準備を進めている。当院および当院関連施設において本態性高血圧症患者(特に食塩感受性高血圧症患者)の尿検体は既に供与を受けており、ELISAの系が完成すれば、尿中PN-1分泌量を測定、順次、血圧値との尿中PN-1分泌量相関関係を検討していく。
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