研究概要 |
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎症候群患者の血漿検体n=38,治療前)と、健常人(n=29)における血中IL-12p70,IL-12p40,IL-18を測定した。治療前の検体で末梢白血球数、血清CRP、クレアチニン値、腎生検での活動性半月体形成率との相関を検討した。活動性半月体形成率は、腎生検にて得られた糸球体のうち、細胞性半月体と細胞線維性半月体を呈した糸球体数の非硬化性糸球体数における割合により求めた。これらサイトカインとIL-12familyとの関係を検討するためIL-23も測定し、血管炎患者治療前(n=39),健常人(n=4)についても検討し、IL-12p40との関係を検討した。血中IL-18,IL-12p40,IL-23は血管炎患者群で健常人に比べ有意に高値を示した。IL-12p70は、患者群で健常人に比べ高い傾向があった。血中IL-18は末梢血好中球数,との間に正の相関を認め(n=33,r=0.47,p<0.01)CRPとの間にも正の相関を認めた(n=35,r=0.42,p<0.05)。血中IL-12p40は、腎糸球体活動性半月体形成率との間に正の相関を(n=36,r=0.51,p<0.01)、血清クレアチニンとの間に正の相関を認めた(n=35,r=0.48,p<0.05)。IL-12p40とIL-23,IL-12p70との間には相関を認めなかった。ANCA関連血管炎患者においてIL-18は向全身性炎症反応を引き起こし、IL-12p40は糸球体半月体形成に関与する可能性が示唆された。
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