研究概要 |
3テスラMR機を用いた撮像および解析について 1)拡散強調画像を用いた拡散テンソル解析については,すでに公開中のEZ-LCAアプリケーションをさらに発展させ,正常にみえる灰白質・白質をさらに拡散特性に応じて大型・小型ニューロン,グリア,長神経路,短神経路などの解剖学的単位に分離し個別に解析する方法を考案した。現在患者および健常ボランティアにて検証中である。 2)プロトン磁気共鳴スペクトロスコピーについては,新潟大学脳研究所統合脳機能研究センターと協力し,撮像法および後処理の改善をすすめている。Single voxel法については,LCModelソフトウェア(LAシステムズ社)を新たに導入し,従来までの各代謝物の相対比のみならずmmol/L単位の絶対濃度を測定できるようにした。化学シフトイメージング法においては,従来のようなごく限定された撮像範囲ではなく,ほぼ1スライス上の全領域を撮像範囲として撮像することが患者および健常ボランティアにて可能となった。また,この化学シフトイメージング法によって得られた撮像データの後処理の労力を大幅に軽減するアプリケーションEZ-MRSを新たに開発し,撮像データから各代謝物のカラーイメージを作成するまでの労力と時間を大幅に軽減することに成功した。 患者データベースの構築について neuromyelitis opticaに特異的に出現するとされる血清中の抗NMO-IgG抗体が発見され,本研究協力者のグループが国内で先駆けて検出系をつくることに成功するという大きな進展があった。これにより,従来視神経脊髄型多発性硬化症と分類されてきた患者群で抗NMO-IgG抗体陽性群と陰性群が混在していることが新たに明らかになった。現在陽性群と陰性群で,上記のMR解析の結果を比較検討する作業を行っている。
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