研究課題
1.近年、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)が、非侵襲的に大脳皮質の機能を変化させることが注目されており、今回我々はtDCSの刺激部位による皮質SEPの変化を検討した。方法:健常成人10名を対象に、正中神経刺激(刺激間隔800±200 ms、300回加算)を行い、F3, C3^'-(A1+A2)の電極でSEPを記録した。tDCSはC3より2cm前方(運動野近傍)もしくは後方(感覚野近傍)に4×4cmの刺激電極を置き、他方は右眼窩上に置いた。刺激強度は1mA、持続15分とした。経時的(tDCS前、直後、10分後、20分後、30分後)にSEPを記録し、各成分の潜時と頂点問振幅の変化を分析した。結果:N20振幅が運動野刺激-感覚野刺激間で有意差を認めたが、陽極刺激と陰極刺激による差はなかった。2.運動直前にSEPの振幅が減衰することが知られgatingと呼ばれているが、自発運動によるgatingを健常者30名で検討したところ、C3^'のN20以降め後期成分が主に減衰することが示された。年齢によるgatingの効果の差はあまりなかったが、F3のN30で若年群の抑制が強く見られた。dysotnia患者6名での検討では、概ね同様にgatingが見られたが、安静時に対する運動時のN20が健常者よりも高くなることが示され、視床から皮質への投射に変化があることが示唆された。3.tDCSの前後で安静時と運動前のSEPを記録しgatingの効果を健常者およびdystonia患者で検討したところ陽極刺激で健常者ではN30のgatingの効果が減弱する傾向だったのに対し、dystonia患者では増強する傾向が見られた。陰極刺激では目だった変化はなく、陽極刺激でより効果が見られる可能性が示唆された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Neuroimage 36(4)
ページ: 1263-76
Clin Neurophysiol 118(6)
ページ: 1198-203
Proceedings of Annual Meeting of IEEE/ICME 2007
ページ: 2040-2043