1.TNFαIVS1+123GA多型領域に対るエストロゲンの作用の検討:転写因子YY1がIVS1+123G/A多型領域に及ぼす作用に対し、エストロゲンや炎症反応がどのような影響を及ぼすか検討するため、U937細胞株、NIH3T3細胞株をエストロゲンおよびLPS刺激下で培養し、ゲルシフトアッセイ、ルシフェラーゼレポーターアッセイをおこなった。ゲルシフトアッセイではIVS1+123A多型領域にエストロゲン濃度依存性にYY1の結合が変化したが、ルシフェラーゼレポーターアッセイでは、転写活性能に有為な変化を認めなかった。LPS刺激下でエストロゲンの影響を検討したが、同様であり明らかにエストロゲンや炎症反応がIVS1+123G/A多型の違いによって、TNFαの発現に変化を及ぼすことを証明できなかった。2.ヒト単球を用いたTNFαIVS1+123G/A多型領城のYY1結合の証明:健常人提供者より末梢血を採取し、密度勾配遠心法により単核球を分離。これをもちいてYY1の多型領域への結合を、クロマチン免疫沈降アッセイにて検討した。多型によって結合能の違いをクロマチン免疫沈降アッセイで証明できなかった。提供者の多型にG/AヘテロタイプはいたがA/Aホモタイプがいなかったことも原因と考える。3.TNFαIVS1+123G/A多型の臨床応用の検討:舟形住民検診の検体を用いて、IVS1+123G/A多型領域と血清アディポネクチンの濃度、およびその他の身体計測項目、血液生化学データとの相関を検討した。75gGTTにて正常耐糖能を示した住民を対象とし、IVS1+123G/A多型の違いで臨床データを統計学的に検討した。血清アディポネクチンがIVS1+123G多型で補正後、有為に低下しており、IVS1+123G/A多型がTNFαの発現に影響を及ぼし、脂肪組織のアディポネクチン産生に影響を与えていることが示唆された。
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