ChREBP(Carbohydrate responsive element binding protein)はグルコース応答性の転写因子の一つであり、主に肝臓での機能が知られているが膵臓β細胞における機能についてはあまり報告がない。そこで膵臓β細胞におけるしChREBPの機能を明らかにするために、ラット膵β細胞由来細胞株であるINS1を用いてChREBP蛋白によるインスリン遺伝子転写調節能の検討を行った。INS1細胞にChREBP発現プラスミドを濃度を変えて導入し、グルコース濃度を変えて培養を行ったところ、5.5mMグルコース濃度下では導入したChREBP発現プラスミド量に応じての内因性のインスリン遺伝子の発現量の変化はみられなかったが、25mMグルコース濃度下では導入したChREBP発現プラスミド量に応じての内因性のインスリン遺伝子の発現量の変化がみられた。ChREBPは、グルコース濃度に応じで細胞質から核に移行することが知られており、今回の結果より、グルコース濃度の増加により核内に移動したChREBPはインスリンの遺伝子発現調節にも関わっていると考えられる。現在、ChREBPのsiRNAを用いて、グルコース濃度変化下におけるChREBPによるインスリン遺伝子転写調節能ついてさらに詳細な検討をおこなっている。
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