研究概要 |
糖尿病性末梢神経障害と同足部潰瘍症例へ浸襲性の低い自家末梢血単核球細胞分画移植治療 対象 : 明らかな慢性閉塞性動脈硬化症を認めない難治性糖尿病性下肢末梢神経障害および足潰瘍、各種内服、点滴静注などの既存の薬剤、免荷や局所の処置にてコントロール不能でQOLが障害されている症例。 性別 : 男性及び女性(妊娠およびその可能性のある女性を除く) 年齢 : 原則20歳以上80歳未満 適応除外事項 : 悪性新生物を有する患者及び3年以内にその既往のある患者、糖尿病性網膜症不安定期の患者、インフォームドコンセントを得られない患者、その他主治医が不適当と判断した患者。 今年度適応症例を1例認めましたが、自家末梢血単核球細胞移植は同意を得ることができなかったため行えず、変わりにPRP(platelet Rich Plasma)療法を行った。 63歳男性難治性糖尿病足潰瘍の症例 2型糖尿病・右足底潰瘍・敗血症で当院入院。抗生剤投与, 潰瘍部洗浄とデブリドマン, インスリン強化療法, プロスタグランディン製剤の静注で感染巣の状態が改善したため形成外科転科となった。潰瘍部の皮弁手術が必要であったが下肢の血流障害が著しく(ABI右1.5左1.6, TBI右0.58左0.52, 組織酸素分圧32mmHg)組織の生着が困難であった。そこで当科より自家末梢血単核球細胞移植を提案したが、形成外科にてPRP療法を選択された。移植後、組織酸素分圧が38mmHgまで改善したため皮弁手術を行い移植組織の生着を認めた。自家末梢血単核球細胞移植とPRP療法は血管新生因子(VEGF, bFGF, PDGFなど)を筋肉内に移植する観点からは同じようなものであり、同様の効果があったと推測される。
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