これまで多くの臨床研究や基礎研究によって、生体内でアルドステロンは炎症を惹起し、心臓や腎臓、血管といった臓器に肥大線維化を引き起こすことが知られているが、その詳細なメカニズムについてはまだ不明な点も多い。特に、生体内で血清アルドステロンが必ずしも高値でない場合であっても、MRを介した臓器障害が引き起こされる事実から、アルドステロン非依存性にMRが活性化される未知のメカニズムの存在が示唆されていた。一方で多くの蛋白質はリン酸化やユビキチン化などの多彩な翻訳後修飾を受け、蛋白質の機能が調節されていることが明らかとなってきている。そこで今回我々は蛋白質の翻訳語修飾のひとつであるSUMO化修飾に注目し、MRがSUMO化修飾の基質であるか検討し、その場合に転写調節における役割について解析を行なった。 まずsite-directed mutagenesisを用いた変異MRの検討から、MRの中で89番目、399番目、494番目、953番目の計4ケ所のリジン残基がMR修飾を受ける部位であることが明らかとなった。そして、この変異MRを用いたルシフェラーゼアッセイや脱SUMO化酵素SENPlを用いてMRの脱SUMO化を誘導したときの転写活性の検討から、MRに脱SUMO化がおきることで、MR転写が活性化させるというメカニズムを明らかにした。
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