1.野生型、XIII因子Aサブユニット(XIIIA)、Bサブユニット(XIIIB)欠損マウスに対するLPS投与実験を実施した。 (1)2.5mg/kg体重のLPS腹腔内投与では、死亡率に有意差を認めなかった。心臓・肺・肝臓・腎臓に微小血栓や好中球浸潤がいずれのマウスでも観察された。 (2)LPSを投与した野生型マウスでは、XIIIA、XIIIB共に血漿濃度が低下した。 (3)野生型、XIIIB欠損マウス共に、LPS投与により骨髄中のXIIIA量が減少した。心臓におけるXIIIAの発現は逆に増加しており、組織球(マクロファージ)での発現も免疫組織染色で増加していた。 (4)XIIIA欠損マウスにLPS投与すると、野生型とは逆に血漿XIIIB濃度が増加した。肝臓において野生型マウスのXIIIB mRNAは減少したのに対して、XIIIA欠損マウスでは変化しなかった。 (5)通常では肝臓にXIIIAは検出されないが、LPS投与した野生型およびXIIIB欠損マウスにおいては、一過性のクッパー細胞内XIIIAの発現が観察された。 2.サイトカインを培養上清に添加してマウスの各種の細胞の初代培養を試みたが、増殖の効率が良くなかった。そこで、XIIIAあるいはXIIIBを内在性に産生する各種培養細胞におけるLPSの影響を調べた。 (1)LPSを与えた単球系U937細胞は形態的な変化を示し、著しいXIIIA mRNAの減少が観察された。巨核球系MEG-01細胞では、XIIIA mRNAへの影響は認められなかった。 (2)XIIIB mRNAはHepG2細胞にのみ検出されたが、LPS処理によるXIIIB発現の変化は認められなかった。 3.LPSによる転写調節の可能性を検討するために、マウス・ヒトXIIIA及びXIIIB遺伝子のレポーターアッセイ用のベクターを構築した。
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