研究概要 |
1. LPSを投与した野生型, FXIII-A-およびFXIII-B-KO各マウスの血漿中のIL-6, TNFα, TGFβのWestern blot解析を試みたが、明瞭な結果は得られなかった。 2. LPS投与した各マウスの末梢血塗抹標本を観察したところ, FXIII-A KOマウスにおいて多染性かつ連銭様の奇形赤血球が認められた。 3. FXIII-A、FXIII-B遺伝子それぞれの5'上流領域DNA断片を挿入したルシフェラーゼベクターconstructを作製し、巨核球系MEG-01細胞および肝癌由来HepG2細胞を用いて種々のサイトカイン存在下でのルシフェラーゼアッセイを試みたが、サイトカインに対する応答性に差がなく、応答エレメントの存在は認められなかった。 4. 単球系U937細胞をLPSやIL-3, IL-6で処理した場合MEG-01と比べて著しくFXIII-AのmRNAが減少することから、FXIII-A mRNAの消長を調べた結果、MEG-01では比較的安定であるのに対して、U937では半減期が短いことが示された。 5. バキュロウイルス発現系を用いて大量調製した組換えFXIII-Bをマウス血漿と反応させたところ、FXIII-Bと結合する複数のタンパク質の存在が確認され、さらに質量解析によりgelsolinおよびα1-trypsin inhibitorがFXIII-B結合タンパク質として同定された。 6. LPS投与したマウスの心臓及び肝臓切片は、野生型およびFXIII-B KOマウスでは多数の組織内微小血栓を生じていたのに対して、FXIII-A KOマウスでは軽微であることが判明した。また、野生型マウスで観察された心筋内マクロファージ浸潤はFXIII-A KOマウスで低下しており、逆にFXIII-B KOマウスでは有意に増加していることを見出した。
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