研究課題
Hodgkinリンパ腫はReed-Stemberg細胞、またはHodgkin細胞と呼ばれる圧倒的少数の腫瘍細胞が、圧倒的多数の反応性のリンパ球、マクロファージと混在するのを組織学的特徴とする悪性リンパ腫である。Hodgkinリンパ腫腫瘍細胞が、圧倒的多数の反応性リンパ球による宿主の免疫応答からどのようにして逃避し生存し得るのか長らく不明であった。我々は、Hodgkinリンパ腫の腫瘍細胞が、CCR4のリガンドであるTARC/CCL17及びMDC/CCL22、を分泌し、CCR4との相互作用により、CCR4陽性制御性T細胞を腫瘍細胞周囲に集め、宿主の免疫応答から逃れていることを明らかにした。さらにCCR4陽性制御性T細胞の遊走は抗CCR4抗体で制御可能であることを示しHodgkinリンパ腫に対する新たな免疫療法の可能性を示唆した(Cancer Res.66)。また、Hodgkinリンパ腫の20-25%は腫瘍細胞自体がCCR4を発現していることを明らかにし、CCR4陽性Hodgkinリンパ腫モデルマウスを作製し、キメラ型抗CCR4抗体の強い抗腫瘍効果を証明した。(Leukemia20)。我々はこれまでCCR4陽性腫瘍であるATLLの病態解析研究を進めてきた。多数例のATLL症例の解析で血清IL-5高値が有意な予後不良因子であることを明らかにした(Int J Cancer)。IL-5は好酸球の産生を促進する働きをもつため、Th2サイトカインのIL-5が高値であること、すなわちTh1/2免疫バランスがTh2に傾くことは、Th1の減弱すなわち抗腫瘍免疫の低下につながる。T細胞性腫瘍にとってTh2の機能を有することは、宿主内での生存に好都合であることが示唆された。これら研究成果をまとめ、抗CCR4抗体の今後の展望について詳細に論じた(Cancer Sci.97)。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
Leukemia 20
ページ: 2162-2168
Cancer Sci. 97
ページ: 1139-1146
Cancer Res. 66
ページ: 5716-5722
Int J Cancer. 118
ページ: 3054-3061
現代医学 54
ページ: 285-293
医学のあゆみ 219
ページ: 51-56