研究概要 |
気管支喘息において平滑筋細胞は気道リモデリングに重要である。平滑筋は2種類の表現型即ち収縮型と合成型・増殖型があるが、vitroにおいては合成型・増殖型が優位となり、vivoにおける平滑筋細胞の位置づけを十分に反映していない。本研究ではvitroにおいて収縮型細胞を確立し不死化することによりvivoでの平滑筋細胞固有の性格を備えた細胞を確立し、喘息における平滑筋細胞の役割について明らかにするものである。また、確立した細胞を用いてLTB_4の平滑筋細胞に及ぼす影響についても検討した。LTB_4は重症の喘息患者の喀痰や気管支洗浄液で増加しており、リモデリングに関与することが示唆される。今年度は平滑筋細胞にLTB_4の受容体発現及びLTB_4の及ぼす影響ついても検討した。 今年度は12ドナーより平滑筋細胞を確立した。これらの細胞にはα-sm-actin, sm-MHC, M3Rが発現していることをWestern blotting、免疫染色により確認した。またFlow cytometry, Western blotting, RT-PCRによりLTB_4のレセプターであるBLT1Rの発現を確認した。またLTB_4は平滑筋細胞の増殖及び遊走を刺激した。これらLTB_4による増殖及び遊走刺激はBLT1Rの阻害剤により阻害された。また、LTB_4刺激によりp42/p44 MAPK及びAktのリン酸化が認められ、MAPK, PI3K阻害剤によりLTB_4による増殖及び遊走は阻害された。したがって、LTB_4はBLT1Rを介し、MAPK及びAktをリン酸化することにより平滑筋細胞の増殖及び遊走を刺激していることが示唆された。平成19年度はこれらの結果を基にさらに気管支平滑筋の多様性について検討し、また不死化細胞の確立と関連して研究を続けていく予定である。
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