研究課題
平成19年3月未の時点で、当科外来受診の診断未確定関節炎は、280症例である。解析のために、エントリーより1年後にRA進展群と非進展群に分類し、RA発症予測マーカーの抽出を試みた。対象となったのは、RA進展群66症例、非進展群52症例の計118症例である。RA進展群は非進展群と比べ、IgM-RF、抗cyclic citrullinated peptide抗体(抗CCP抗体)の陽性率がおのおの51.5% vs.25.0%、57.6% vs.7.7%と有意に高く、CRP、マトリックスメタロプロテアーゼ3(MMP-3)の中央値も各々0.52 vs.0.1mg/dl、48.8 vs.35.9ng/mlと高値を示した。MRI所見においても、滑膜炎と対称性滑膜炎(92.4 vs.51.9%、75.8 vs.38.5%)、骨髄浮腫(42.4 vs.7.7%)、骨浸食(33.3% vs.9.6%)がより高頻度に認められた。特に、抗CCP抗体とMRIでの骨髄浮腫は特異度がともに92.3%、またMRIでの骨浸食は90.4%と高く、オッズ比も16.3、8.83、4.70と他の項目よりもRA進展予測に重要であることが示唆された。これは、以前私たちが早期RA症例で報告した結果と同様であった。抗CCP抗体あるいは骨髄浮腫が陽性例では1年後には約90%がRAに進展、共に陽性例では全例RAに進展した。今回の解析では、HLA-DRB1 ^*SEアリル陽性率(ヘテロ、ホモ共に)とPeptidyl arginine deiminase 4(PADI-4)RA感受性ハプロタイプの陽性率(ヘテロ、ホモ共に)、MMP-3遺伝子多型の陽性率に差は認められなかった。しかし、抗CCP抗体の有無でPADI-4遺伝子多型の陽性率を比較すると陽性例で高い傾向が認められた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
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