診断未確定関節炎129症例を対象に関節リウマチ(RA)発症予測マーカーの抽出を試みた。エントリーより1年後、75症例がRAへ進展した。初診時所見でIgM-RF、抗CCP抗体、MMP-3、 CRP、 MRIでの対称性滑膜炎、骨髄浮腫、骨侵食、疼痛関節数、腫脹関節数、HAQがRA進展予測に有意であった。特に抗CCP抗体とMRIでの骨髄浮腫は感度40〜50%と高くないも特異度90%前後と高く、RAへの進展予測率も約90%と高かった。血清マーカーやMRI所見各々がヨ陰性の場合、RAへ進展しない確率は50〜60%であった。血清マーカーとMRI所見を組み合わせてRA進展群を検討した。抗CCP抗体および骨髄浮腫陽性22症例全例RAへ進展した。抗CCP抗体の代わりにIgM-RF、骨髄浮腫の代わりにMMP-3を用いた場合も同様の結果だった。逆に、共に陰性の場合、60〜70%はRAへの進展が認められなかった。次に、発症2年以内の早期RA72症例を対象に骨破壊進展マーカーの抽出を試みた。25症例に骨破壊を認め、自己抗体の陽性率、CRP値、MMP-3値、MRIでの骨変化(骨髄浮腫と骨侵食)が非破壊群に比べ有意に高く、特に抗CCP抗体および骨髄浮腫陽性例の60%で骨破壊進展がみられた。抗CCP抗体の代わりにIgM-RF、骨髄浮腫の代わりにMMP-3の場合も同様であった。逆に、共に陰性の場合、ほぼ全例骨破壊を認めなかった。 回帰性リウマチは30%がRAへ進展することからRA疾患感受性遺伝子であるPADI4ハプロタイプを検討した。健常者38症例と比較して回帰性リウマチ28例ではPADI4遺伝子の特定のSNPs頻度が高く、かつ、RA-susceptible PADI4 haplotype陽性率が高い傾向にあった。
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