研究概要 |
健常人ボランティアの同意を得た上で採血を行い、分離した末梢血単核球(PBMCs)よりCD14陽性モノサイトを磁気分離した。CD14陽性モノサイトにIL-4とGM-CSFを加え、5日間培養することでヒトモノサイト由来樹状細胞(monocyte-derived dendritic cells : Mo-DCs)を誘導した。この未成熟な状態の樹状細胞(immature DC: iDC)に、17β-estradiolあるいはビスフェノールA(BPA)の存在あるいは非存在下でDCの成熟因子であるTNFα,Pam3Cys, PolyI : C, LPS, Flagellin,あるいはR837を添加した。48時間後、これらの成熟DCとアロナイーブTh細胞を共培養することにより、混合リンパ球培養反応(MLR)を誘導した。MLRで誘導された増殖応答性は、^3H-thymidineの取り込みを測定することで決定した。さらにMLRによって増殖、分化したTh細胞のケモカイン受容体(CCR4,CXCR3)、サイトカイン産生性を評価することでTh分化を決定した。BPAはDCの成熟状態における形態学的変化、CD86分子の発現レベル等に影響を与えなかった。また、MLRに及ぼす影響も認められなかった。しかし、DCの成熟過程で添加したBPAの濃度依存性に、分化Th細胞におけるIL-4,IL-5,IL-10,IL-13/IFNγの産生比、およびCCR4/CXCR3比が上昇した。現在、これらの現象を裏付けるDCの細胞表面分子の発現(OX40LやJagged1)や液性因子(IL-12,IL-6,IL-10,CCL-1,Mig)の産生を解析中である。
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