研究概要 |
平成18年度は当初の実験計画に基づき、ENUランダムミュータジュネシスによるミュータントマウスの作製とアレルギー性結膜炎の誘導を行った。 平成18年4月より平成19年1月(報告書作成時点で解析すみのものとして)までに5家系、約300匹のENUマウスを作製し、これらのマウスにスギ花粉を用いた感作で花粉症を誘導した。同時に行った野生型マウスでの感作実験では、感作前に比べ感作後で血清中のTotal IgE,IgG1の上昇、末梢血中の好酸球、好中球数の増加を確認できた。また、感作後に掻破行動が見られたマウスもあった。これらの観察結果は、花粉感作の方法に工夫を加えることで、安定して得られるようになった。 花粉感作および検査の結果、以下のような異常な表現型を呈するミュータント候補マウスを検出できた。(a)血中のIgE値が他のマウスに比べても高く増加するマウス1組。(b)花粉感作を行ったにもかかわらず血中のIgE値が増加しないマウス2組、および(c)IgE倍増加の弱いマウス1組。(d)花粉感作前後で血小板数が他のマウスでは微増するところ、大きく減少するマウス1組。(e)血中のIgE値が元々高く、アレルギー素因を有すると考えられるマウス1組 上記マウスは実験理論上ホモ接合体であるので、得られたミュータント候補マウス同士での交配を行い、表現型が再現するかの確認およびラインの維持を続けている。ただし、(b)のミュータント候補マウスの1組はオスでのみ検出されたため、まず野生型メスとの間でヘテロ接合体を作製し、その後このヘテロ接合体同士での交配でホモ接合体を作出し表現型が再現するかの確認およびラインの維持を行う予定にしている。 来年度は、これらの確認、維持作業を続けるとともに、新たなミュータント候補マウス作出のために花粉による感作も続けていく予定である。
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