研究概要 |
1)Hag2ホモマウスを用いた表現型の解析 Hag2遺伝子は胎生期に中胚葉由来細胞に特異的に発現を認め、それに一致して異常が認められた。特に表現型が明らかであったのは骨形成異常であった。出生前に既に体格は低形成であり、出生後に脊椎低形成、頚椎から胸椎にかけて棘突起の癒合不全、椎体の骨密度低値を認めた。出生後にホモ個体の発生率は低値であったが、その原因については明らかにすることはできなかった。一部のホモ個体で咬合不全があり、そのような個体は全例死亡するが、歯牙形成以前にホモ個体の脱落がありそれ以外にも死因が存在すると思われる。胎生期に心臓、心筋層、弁、大血管でHag2の発現を認めたが少なくとも明らかな大血管異常や、生存ホモ成獣個体の心機能解析上は異常を認めなかった。以上の結果について、第30回日本分子生物学会年会(2007年12月)にて口頭発表にて報告した。 2)Hag2遺伝子のmicroRNAによる機能発現の可能性 データベース上においてHag2は少なくとも3つのmicrbRNA(miR-199a,miR-199a^*,miR-214)をコードしていることが明らかになった。胎生11.5日齢のHag2ホモ個体において、これら3つのmicroRNAの発現は低下ないし消失していることをノーザンブロット法にて明らかにし、Hag2遺伝子により発現制御を受けている可能性が示唆された。また、Hag2遺伝子がアンチセンスRNAとしてセンス鎖のDynamin3遺伝子の発現抑制を介して機能する可能性が否定できない。そのため、胎生期のHag2遺伝子の強発現を認める部位におけるDynamin3遺伝子のmRNAおよび蛋白発現について解析を行ったが、なんら影響を与えないことを明らかにした。以上の結果から、Hag2遺伝子は3つのmicroRNAに対するprecursor RNAである可能性が示唆された。
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