発見した日本人NPHS1遺伝子変異のうち、全てについて遺伝子変異を導入するためのプライマーを設計した。そのうち最も頻度の高かった2種類の遺伝子変異を有したpcDNA3.1の発現ベクターをQuikchange site-directed mutagenesis kitを使用して作成した。 また、自験例のステロイド抵抗性ネフローゼ患者に対し、通常の免疫蛍光染色に加え、ネフリシポドシンNEPH1などのポドサイト関連蛋白の発現を調べた。通常の蛍光抗体法では有意な所見は認めなかったが、ポドシンの発現が全く認められず、ネフリン・NEPH1の発現の低下が認められた。以上の結果より、原因としてNPHS2遺伝子異常が考えられたため、変異の検索を行った結果、母親由来R168Cと父親由来R168Hの複合ヘテロ変異を認めた。これをサブクローニングを行って、確認した。 InvitrogenよりNPHS2cDNAの入ったベクターを購入し、それを発現ベクターに挿入し、それぞれの遺伝子変異の入ったベクターをQuikchange site-directed mutagenesis kitを使用して作成した。 また、本患児には頭蓋冠欠損に近い著明な頭蓋骨離開が存在しており、著明な頭蓋骨離開と本遺伝子異常の関係について検討するため、マウス胎仔からRNAを抽出し、RT-PCRを行った。この結果、今まで報告のなかった頭部にも発現していることが確かめられた。
|