研究概要 |
血球食食性リンパ組織球症(HLH)には一次性と二次性があり、一次性である家族性HLH(FHL)は予後不良で、造血幹細胞移植(SCT)が唯一の根治的治療と考えられる。FHLの責任遺伝子の一つにパーフォリン異常があり、本邦では本年度に新たに見つかった症例を含めると19例となった。その19例を集積し、遺伝子型・表現型、予後を検討したところ、発症年齢と遺伝子型(missense mutation)、移植時期が予後に影響することが考えられた。根治的治療法であるSCTを何時、どのような形で行うのがベストか、さらに症例を増やしながら検討を重ねる。 パーフォリン遺伝子異常には、日本人特有の遺伝子異常があり、最も多く認められている遺伝子異常は1090-1091delCTである。日本だけでなく民族特有の遺伝子異常が種々報告されているが、未だ日本以外のアジア諸国でのパーフォリン異常は報告されていない。現在、アジア諸国の医療機関(1,Korean National Cancer Center, Seoul, Korea, 2, Subang Jaya Medical Centre, Malaysia, 3, Lady Pao Children's Cancer Centre, Hong Kong, 4, Chi-Mei Medical Center, and Taipei Medical University, Taiwan, 5, Christian Hospital and National Cheng-Kung University Medical School, Taiwan,)と連携をとりながら、遺伝子解析を進めている。現在までのところは、過去のFHL疑い症例や新規のFHL疑い症例について解析していたが、今後は新規のFHL疑い症例を解析することにより、早期診断、適切な治療へと繋げ、予後の改善へと結びつくことを期待している。またパーフォリン遺伝子異常のアジア地域国別発症頻度を明らかにする。
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