研究概要 |
平成18年度から平成19年度の実験において、ラット脳から遠心分離を繰り返すことにより、post synaptic densityが豊富に含まれる分画(PSD fraction)を安定して得られる実験系を確立した。平成20年度、このPSD fractionに含まれるN-カドヘリンのエンドサイトーシスを安定して起こさせるアッセイを確立した。PSD fractionにATP、GTP、及びラット脳細胞質分画を加えて30℃で30分間加温することによりN-カドヘリンのエンドサイトーシスを起こさせ、20,000gでの遠心分離により、その上清中に、N-カドヘリン小胞を含む細胞膜成分を分離する。 ピペッティング操作により、細胞膜からN-カドヘリン小胞を分離し、10,1000gの超遠心によりペレットとして安定的に得ることができた。そのペレットをN-カドヘリンによるウェスタンブロットを用いることで、N-カドヘリシのエンドサイトーシスを平成19年度よりも効率よく定量化することが可能となった。上記アッセイは、ラット脳後シナプス膜分画からエンドサイトーシスさせたN-カドヘリン小胞を直接解析できる無細胞再構成系であり、これまでの研究と比較して、シナプスを直接構成する分子以外の影響を排除できること、より迅速かつ定量的に解析することが可能である。このアッセイ系を用いることにより、N-カドヘリンのエンドサイトーシスのメカニズムの解明、さらにはシナプス可塑性の制御機構の解明に寄与することが期待される。
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